シニア世代の韓国留学は、年齢に関係なく新しい挑戦として人気があるようです。この記事は私がシニアになって韓国に留学し奨学金(給付型)までもらったという体験をまとめたものです。
シニアでも新しい扉は開けます。30年前に何気なく蒔いた種が育って、巡り巡って自分に帰ってきたという話です。
韓国留学したシニアが30年前に蒔いた種
30歳の頃、私はある銀行に勤めていました。ちょうど会社の周年事業として、社内で記念事業のアイデアを募集する機会がありました。その時、私が提案したのが「外国人留学生に奨学金を出す」でした。
なぜそんな提案をしたのか思い出してみると、単純です。長い文を書きたくなかったからです。そうしたらどういう訳か、この提案が入賞し本店で表彰され賞金を頂いたのです。賞金は飲食に使い、その後の私の提案がどうなったかにはまるで関心なく、月日が過ぎて行きました。
そして、まさかその30年後に、自分自身が外国人として奨学金をもらう側になるとは、当時の私は想像すらしていませんでした。シニアになって韓国の大学に留学し、留学生として過ごすことになった私に、思いがけず奨学金の話が舞い込んできたのです。
シニアになっての編入学・交換留学
シニアになってから、私は大学の3年次に編入学しました。若い学生たちに混じっての学生生活は、それだけでも十分に新鮮な経験でした。
編入学した大学には、協定校への交換留学制度があり、条件を満たせば海外の大学で学ぶ道が開かれていました。とはいえ、定員はわずか3名。
人気の枠なら競争は避けられないだろうと思っていましたが、幸いなことに、韓国の高麗大学への希望者もちょうど3名。無事、全員がそのまま留学できることになったのです。
シニアになってからのの海外留学など、当の本人が一番驚いていたかもしれません。こうして私は、思いがけない巡り合わせで、韓国・高麗大学への切符を手にしたのでした。
高麗大学の奨学金制度
高麗大学について調べてるうち、まず驚いたのは、留学生向けの奨学金制度が用意されていたことでした。しかも、その申込み条件は思ったよりずっとシンプルでした。
出身大学の指導教授の推薦状さえあれば、誰でも申込みができる。それが、この奨学金の条件でした。年齢制限は一切ありません。シニアである留学生の私にも、門は等しく開かれていたのです。
留学が決まってすぐ、私は指導教授に推薦状をお願いし、渡航前に申込みを済ませました。でも正直なところ、期待は半分程度でした。
結果は口座で知った
申込みを終えてからは、特にそのことについては音沙汰もないまま留学生活が始まりました。合格通知や連絡が来るものと思っていましたが、そういったものは一切ありませんでした。申込みをしたこと自体、次第に記憶の片隅に追いやられていきました。
結果を知ったのは、思いもよらない形でした。ある日、何気なく口座を確認すると、見慣れない金額が振り込まれていたのです。最初は何の入金か分からず戸惑いましたが、よくよく確認すると、それが例の奨学金でした。
申し込みしてから全然連絡がないので、やっぱりこんな年寄りに、奨学金なんか出るはずがないとあきらめていました。ところが、年金生活者の私に奨学金が出たのです、やっぱり私は年金生活者の前に留学生だった、と心から喜びました、金額の多寡は問題でありませんでした。それでも、4ヶ月分の下宿代を払える金額で大いに助かりました。
まさかの巡り合わせ
奨学金が振り込まれたことを知った時、頭をよぎったのは、30歳の頃、銀行の周年事業で思いつきのように出した提案「外国人留学生に奨学金を出す」のことでした。あの時の私は、まさか自分がその「外国人留学生」の立場になって、奨学金を受け取ることになるとは、夢にも思いませんでした。
私が提案した「外国人留学生に奨学金を出す」は今どうなっているのだろう?私が調べたところによると、銀行は2回の合併を経て今はメガバンクになっていましたが、私の提案は国際財団として存在し、外国人留学生への奨学金だけでなく、国際文化交流の事業にも幅を広げて活動していました。
蒔いた種と、巡ってきた実。両者に直接のつながりはありません。私が提案した奨学金制度と、高麗大学の奨学金制度は、もちろん全くの別物です。それでも、30年という歳月を挟んで、「外国人留学生に奨学金を出す」という同じテーマが、今度は自分自身に返ってきた。この偶然のような巡り合わせに、私は不思議な感慨を覚えずにはいられませんでした。
まとめ
シニアになっての韓国留学、そして思いがけない奨学金。振り返ってみれば、その根っこには、30年前に何気なく蒔いた一つの種にあったのかも知れません。
もちろん、当時の自分にそんな深い意図があったわけではなく、「長い文を書きたくなかった」という、なんとも軽い動機で書いただけです。それでも、蒔いた種は形を変えながら、どこかで育ち続け、巡り巡って自分自身のもとに帰ってきた。今回の奨学金は、そのことを教えてくれた出来事でした。
シニアでも、新しい扉は開けます。そしてその扉の向こうには、思いもよらない過去との再会が待っているのかもしれません。

コメント