韓国留学の新学期の緊張と、一冊の本との出会い

この記事は韓国留学のシニアが新学期を迎えての緊張の日々と、一冊の韓国語の本との出会いを綴ったものです。

もとより、若い人のように韓国語に習熟すべくもなく、TOPIKは5級止まりで、韓国語と悪戦苦闘の毎日でしたが、楽しむことが出来たのは何よりでした。

新学期、韓国語だけの授業へ

今日から新学期が始まり、俄然忙しくなってきました。まず向かったのは「東アジアの中の韓国と日本」の授業です。韓国語以外の学生向けの、いわゆる韓国語オンリーの授業に出るのは初めてで、少し緊張していました。

教室の後ろの方から日本語が聞こえてきたので、日本人女性が数人いるようでした。初回だったので、内容は概略程度でした。先学期に受講した「東アジア交流史」の韓国語版のような内容で、幸い、韓国語は大体理解できました。

成績評価については、中間・期末試験を行うが、良くてB、+Bが標準で、A以上は論文レベルの内容が求められ、取れるのは一人いるかいないか、とのことでした。正直、私にとってはもう成績はどうでもよく、韓国語の講義をただ聞けるだけで十分だと思っていました。

この先生が、外国語について印象深いことを言っていました。国連事務総長を務めた潘基文(반기문・パン・ギムン)氏を例に挙げ、「外国語は発音が問題なのではなく、内容が問題なのだ」と。

潘基文氏の英語の発音は下手だと韓国人自身も思っているが、大切なのは中身なのだ、と先生は言います。うーん、まさにその通り。私が目指している方向も、そこにあります。

日本の大学にいた時、ある教授が「外国語は、おしゃべりな人がうまくなる」と言ったのに対して、私はどうしても反発を覚えたのを思い出しました。

콩 한 알도 나누어 먹는다(豆一粒でも分け合って食べる)

「韓国伝統文化の理解」のレポートを作成しました。課題は「伝統文化を一つ選んで、その保護と発展について見解を整理せよ」というものでした。聞き間違えていなければ、そういう内容だったはずです。

私には、この分野の専門的な知識がありません。そこで、道峰山で出会った人々から、何かとご馳走になった経験にヒントを得て、「何でも分け合って食べる」という韓国人の特質について書くことにしました。

これが「文化」と呼べるものかどうか、そこまで深く考えている余裕はありませんでした。ですが、道峰山で金さんや申さんから受けた厚意を思い返すと、この言葉は今の実感そのものでした。

盲導犬の若者に、教えられたこと

この日は、緊張の最初の科目「韓国伝統文化の理解」から始まりました。留学生は、私の他に中国人の女の子もいました。先生から「言っていることが分かりますか」と聞かれましたが、何も返す言葉がありませんでした。

授業では「伝統文化とは何か」「文化とは何か」という問いから始まり、学生一人ひとりが質問を受けていましたが、韓国人学生の発言も、半分くらいしか聞き取れませんでした。

それでも、この先生の授業はなかなか面白いと感じます。「日本の伝統文化は何か」と聞かれたので、「茶道」と答えました。先生は「能もあるだろう」と付け加えました。

韓国の若い学生たちの答えも、それほど深い内容ではないように感じましたが、考えてみれば、私自身、能や歌舞伎について何も知らないのと同じことです。

この授業についていけるだろうかと、少し心もとない気持ちで教室のある建物を出た時、盲導犬を連れた若い男子学生とすれ違いました。

その瞬間、はっとさせられました。目が見えなくても、勉強を続けている若者がいる。私は年こそとっていますが、五体満足です。あの盲導犬を連れた若者に比べれば、どれだけ恵まれていることか。おそらく、それに気づかせるために、彼は私の前に現れたのだと思いました。

教保文庫で本を買った日

昨日までの雨が上がり、快晴の一日でした。気温はまだ低く、風も冷たいのですが、春の気配を感じさせるには十分な陽気でした。

朝食を済ませてから、教保文庫(キョボムンゴ)へ向かいました。韓国を代表する書籍小売チェーンです。インターネットで買えば安くなるのは分かっていましたが、一度、韓国の書店をこの目で覗いてみたいと思っていました。

以前、光化門(クァンファムン)に来た時に店舗を見かけていたので、場所自体は間違えていなかったのですが、いくら探しても店が見つかりません。通行人に尋ねると、目の前のビルの地下だとのこと。

そのビルは保険会社のビルだとばかり思っていたら、教保生命のビルでした。保険業と書籍小売を、同じ会社がやっているというのも、面白いものだと思いました。

店内で、読みたい本を3冊ほど買いました。その一冊が、この「告白」でした。店を出て、チョコレートをかじりながらぶらぶらと南へ歩いて帰宅しました。

夕食は、韓国に来て初めて食べる볶음밥(ポックンパ、焼き飯)でした。油加減も日本のものと変わらず、久しぶりに、お腹いっぱいまで食べました。じゃがいもが入っているのが、少し珍しく感じられました。

一冊の本、「告白」

チャールズ・R・ジェンキンス氏の「告白」も、大体半分ほどまで読み進めました。文章の構文自体はそれほど難しくなく、知らない単語が出てきても、大体は前後から想像がつくようになってきました。

今は、著者が曽我ひとみさんと初めて出会う場面を読んでいるところです。当時の北朝鮮では、拉致された者同士を引き合わせ、結婚させるということが行われていたそうです。

拉致されたのは日本人だけでなく、ルーマニア、レバノン、ベトナムなど、様々な国の人々がいたということが書かれています。

著者の仲間たちは、皆そうした形で結婚していく中、著者だけはそれを拒み続けていたところに、曽我ひとみさんが連れて来られたということです。

当時、彼女は21歳、著者は40代。初めて会った時、それまで身の回りの世話を強制されていた女性たちとはまるで違う様子に、まるで天使が現れたかのように感じたと綴られています。

19歳で拉致された曽我ひとみさんは、その時すでに朝鮮語に習熟していたそうです。著者が彼女に英語を教えたり、トランプをして遊んだりする場面を、今読み進めているところです。

20歳という年齢差もあり、当初は結婚することになるとは、お互い思っていなかったということです。

韓国語の勉強も、こうした一冊の本を通して、少しずつ深まっていくのを感じています。

 

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