「冬のソナタ」とチェ・ジウ

「冬のソナタ」の登場

「冬のソナタ」は日本における韓国大衆文化受容の一つとして2004年NHK総合テレビで初めて放映された。主演はカン・ジュンサン(イ・ミニョンと二役)役のペ・ヨンジュンとチョン・ユジン役のチェ・ジウで、特にペ・ヨンジュンは主に中高年女性を中心に人気を得て「ヨン様」「微笑みの貴公子」と呼ばれ、「ヨン様」は2004年12月「ワード・オブ・ザ・イヤー2004」(朝日新聞社)の流行語大賞となった。一方、ユジン役のチェ・ジウはドラマでは韓国の古いタイプの女性でやや優柔不断に見え韓国の一部の若い視聴者には不評だったが、日本では「けなげで純粋である」として、中高年層の中高年女性に支持されたようである。また、2004年7月には韓国の観光広報大使として日本を訪れ、小泉純一郎首相と懇談し韓国を代表す女優としてチェ・ジウの存在を示した。

「冬のソナタ」の社会的影響

いずれにせよ。「冬のソナタ」はそれまで未知の世界であった韓国の風俗・文化がNHK総合テレビから流れた最初のことであった。これにより「韓流ブーム」が一気に加速していった。個人的には韓国ドラマを吹き替えなしでも分かるようになりたいと韓国語の勉強を始めるきっかけになった。また、この時代はバブル崩壊の影響で若者の雇用環境が悪化し、終身雇用や年功序列の崩壊が始まり日本社会の構造が根底から変化した時期であった。当時の日本のテレビドラマでは「トレンディドラマ」と言われるおしゃれな恋愛ものが全盛を極めていた。そんな中で「冬のソナタ」は同じ恋愛ものでも純粋な初恋を扱っかい、日本人誰もが身に覚えのあるテーマであり昔なつかしさを感じさせるとともに、始めて目にする韓国の風景も新鮮でであった。

「冬のソナタ」のチェ・ジウ

チェ・ジウが「冬のソナタ」のユジン役にぴったりだったのは、チェ・ジウ自身の素朴さと誠実さによると言われている。しかしそれだけでなく、タイトルに「冬のソナタ」とあるように韓国の美しい冬景色が背景になっていてチェ・ジウの表情や行動が清純な美しさを引き出している。チェ・ジウのセリフで個人的に忘れられないのは、スキー場でミニョンがユジンに「結婚したらどんな家に住みたいですか」と聞いた時のユジンの答えである。「外形としての家はどうでもいいの、愛しあっている人には互いの心が良い家だと思うの」という言葉はそれまでの日本のドラマではどこでも聞いたことのない衝撃的な言葉で20年以上経った今でも私の記憶から消えない。その言葉は最終回でもミニョンの記憶として再登場する。

「冬のソナタ」のチェ・ジウの忘れられない演技

初恋の相手カン・ジュンサンが交通事故死してから10年後、初雪の日ユジンが同級生サンヒョクとの婚約式に向かう途中、ジュンサンを見かけ後を追うが見失ってしまうシーンがあるが、ここでは言葉ではなくチェ・ジウの表情や行動だけのシーンに胸が打たれる。その後、設計事務所で働くユジンは仕事で取引先の理事であるジュンサンに似たミニョンに偶然会い、ショックのあまり言葉を失い目だけで演技するチェ・ジウの演技も忘れることができない。ミニョンがユジンが異母兄妹だと知ってユジンに別れを告げるシーンでも、ユジンはただ涙ぐみながら言葉にならない返事をするだけである。3年後、二人が再会する時はミニョンは失明しており、ユジンが来たことが見えず「ユジンか?」と声をかける。そんなミニョンを見つめるユジンの涙はこのドラマのクライマックスでありチェ・ジウの忘れられない無言の演技である。

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