韓国ドラマ「馬医」あらすじ・見どころ・ソウルでの視聴経験

日本で韓国ドラマを観る時は必ず日本語字幕が付きます。韓国ドラマの好きな人は日本語字幕なしでは韓国ドラマは楽しめないと思ってませんか?この記事は私が2012年8月から2013年7月までソウルの高麗大学校に1年間留学した時、現地で観た韓国ドラマ「馬医」のあらすじ・見どころ・視聴体験をエッセイ風にまとめたものです。

この記事を読めば韓国ドラマを日本語字幕なしで観たらどの程度楽しめるかが分かります。結論から言ってしまえば、私の時は韓国ドラマ「馬医」は命の重さを扱っているドラマだけに、韓国語が十分理解できなくても背景や俳優の表情を観てるだけで、凡そのストーリーは分かったということです。

ソウルで出会った韓国ドラマ「馬医」

韓国留学中、私はまだ言葉も分からないまま、韓国の日常生活に慣れようしていました。授業が終わり、下宿の狭い部屋に戻ると、慣れない異国での生活の緊張をほぐすようにパソコンでテレビを観るのでした。そこで偶然出会ったのが、MBCの月火ドラマ「馬医(마의)」でした。

最初はただ画面を観ているだけでしたが。朝鮮王朝時代の衣装、時代がかった言葉遣い、宮廷の華やかな映像に気づけば、私は熱心になって画面を見つめていました。韓国語のヒアリング練習のつもりが、いつの間にかドラマの世界に引き込まれていたのです。主人公ペク・クァンヒョンが馬を診る手つきに、どこか人間への眼差しと同じ温かさを感じました。

下宿のおばさんと「昨日の馬医、見た?」と話すことが挨拶になり、ドラマを通じて下宿のおばさんと仲良くなりました。その体験は学校の授業だけでは決して得られないものでした。帰国してから何年もたった今も、「馬医」は繰り返し日本のテレビで再放送されます、そのたびに私は留学したソウルを思い出すのです。

韓国ドラマ「馬医」あらすじ ― 馬医から王の主治医へ

舞台は17世紀の朝鮮王朝。物語はまず、三人の若き医官候補を中心に幕を開ける。医学の道を志していた三人—カン・ドジュン、イ・ミョンファン、そして医女チャン・インジュ。しかしある日、朝廷内の陰謀によって昭顕世子暗殺事件が起きる。イ・ミョンファンの裏切りにより、カン・ドジュンは無実の罪を着せられ処刑されてしまいます。

罪人の息子として生まれたクァンヒョンは、処刑を免れるために奴婢の赤子と入れ替えられ、牧場で育てられる。馬と共に育ち、やがて腕利きの「馬医(말의사=馬の医者)」となる。しかし彼の中に宿る命への純粋な愛情が、人間の医療の道を切り開いていく。動物の治療に使う技術が人間にも応用できることに気づいたのです。クァンヒョンは、馬医という身分の壁、医師たちの軽蔑、そして出生の秘密を巡る陰謀という幾重もの試練に立ち向かいながら、人間の医者として成長していきます。

彼の傍には、幼い頃に入れ替えられた運命を持つ医女カン・ジニョンがいます。二人は知らず知らずのうちに巡り合い、やがて心を通わせていく。しかしその恋は、身分制度という朝鮮社会の厚い壁に阻まれ続ける。互いを思いながらもなかなか結ばれない二人の姿は、観るものの焦燥を誘います。

数々の困難の末、クァンヒョンはついに宮廷の内医院に入り、王の主治医「御医」の地位にまで上り詰めます。実在した人物・白光炫(ペク・クァンヒョン)の生涯を大胆に脚色したこのストーリーは、単なる出世物語ではなく、医の本質を問い続ける壮大なドラマなのです。

主演のチョ・スンウは、韓国ミュージカル界のトップスターとして知られながら、実はこの「馬医」が初のドラマ主演作でした。そのユーモラスな演技の中にも医に対する姿勢がドラマで光を放ち、最終的に2012年MBC演技大賞の大賞という最高栄誉を手にしました。また、今や韓国ドラマの常連俳優となったイ・サンウが初めてドラマに登場したのもこの作品であり、「馬医」は多くの才能が開花した作品でもあります。

韓国ドラマ「馬医」見どころ ― このドラマが持つ魅力

韓国ドラマ「馬医」には、韓国歴史ドラマの面白さが凝縮されている。私が特に心を動かされた四つの魅力を挙げます。

一、命の平等という永遠のテーマ。
クァンヒョンが馬医として学んだのは、技術だけではなかった。馬も人も、命の重さは変わらない—そのシンプルな信念が、身分制度の厚い壁に折れることなく、ぶつかっていく。貴賎の分け隔てなく患者に向き合う姿は、現代の私たちも感銘させられます。

二、史実に根ざしたリアリティ。
監督のイ・ビョンフンは「チャングムの誓い」「トンイ」などで知られる韓国時代劇の巨匠。本作でも当時の医療技術に徹底的にこだわり、撮影前にキャストと共に鍼灸の技術を学んだといいます。実在の昭顕世子暗殺事件など朝鮮王朝の歴史的事実を絡めた脚本は、ドラマでありながら歴史を紐解く楽しさを経験させてくれます。

三、切なく純粋なラブストーリー。
クァンヒョンとジニョンの恋は静かに深く燃える。幼い頃に引き離された二人が再会し、互いの正体を知らぬまま心を寄せ合っていく脚本。そして身分の壁という現実の冷たさ。純粋であるがゆえに実らない恋の苦悩は、見る者の心を打ちます。

四、悪役の描き方と人間ドラマの深さ。
「馬医」が単なるサクセスストーリーに終わらないのは、悪役の役割です。権謀術数に長けたイ・ミョンファンは単純な悪人ではなく、時代を精一杯生きた人間として複雑な心境を見せてくれます。主人公と対比し、悪役もまた主人公なみの重要な役割を演じているのです。

韓国ドラマ「馬医」をソウルで観た経験から言えること

帰国して、日本で改めて「馬医」を観たとき、あることに気づきました。ソウルで観ていた頃、私は言葉を良く理解できなかったのに、俳優の感情の理解は今と変わらなかった。むしろ、言葉が分からないので、俳優の感情を目の表情や声の調子から、全身で感じていたのかもしれません。

ソウルの下宿で夜遅くまでドラマを観ながら、授業は韓国語で受け、休みの日はソウルの歴史遺産を訪ねる—そういう生活が、私の韓国に対する理解を深めていきました。「馬医」は韓国理解の教科書であり、ソウルの案内人でもありました。

朝鮮王朝時代の衣装の美しさ、、そしてドラマの中の医療という人間の根幹に触れるテーマ。あの頃肌で感じていた韓国の人々の親切と重なって、韓国ドラマ「馬医」は韓国の記憶として今も私の中に生きています。

韓国ドラマ「馬医」は日本語字幕がなくても十分楽しめる名作

「馬医」は、2012年の韓国での放送から10年以上が経った今も、日本の各テレビ局で繰り返し放映され続けています。私がソウルで初めて観た時は、日本語字幕なしという条件でしたが、十分楽しめました。それは、映像だけが持つ力かもしれませんが、このドラマが時間や地域を超えた人間本来の問題を扱い、俳優を始め制作陣の真摯な姿勢が視聴者に訴える力を生んだものと思われます。

出生からハンデを負い、馬医という世間の評価が低い仕事から生命の尊さを見出し、御医となり。王に認められた医者になる。ペク・クァンヒョンの生涯は、命に真摯に向き合う人間の姿は馬医であっても、人の医療の現場と同じだということを教えてくれます。それは17世紀の朝鮮も、現代の日本も変わりません。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました