韓国ドラマサンドあらすじ イム・サンオク実在 タニョン架空

韓国ドラマサンドのサンオクの波乱万丈の生涯はどこまで本当なのか?と疑問に思う韓国ドラマファンの方も多いと思います。この記事はドラマと史実を対比する形で五つのポイントに絞ってサンオクの生涯を解説したものです。

前回は韓国ドラマサンドに出てくる名言について書きましたが、これはその続編ともいうべきものです。韓国ドラマファンの方はこの記事により、韓国ドラマサンドは創作でありながらも、史実に残るサンオクの精神を壊していないことに気が付くことでしょう。

韓国ドラマサンド  サンオクは実在したのか?

前回、名言集の記事を書きながら、ずっと気になっていたことが、これ、本当の話なの?ということです。原作の『商道』を読んでいるうち、いろんなことが分かってきました。

イム・サンオクは実在の人物です。その簡単な概略は次のようになります。

生没年    1779年〜1855年(享年76歳前後)
出身地    平安北道・義州(朝鮮と清の国境地帯)
所属商団   湾商(義州を拠点とした中朝貿易商人集団)
主な商品   高麗人参・中国との交易品
最終官職   郭山郡守(宮廷より授かった実際の官職)
座右の銘   「財上平如水 人中直似衡」ーこの銘については前回記事参照

韓国ドラマサンド ドラマVS史実1~3

韓国ドラマサンドは全50話(日本では66話)の長編ながら、次から次へと息を飲むような事件が展開し、次回が待ちどうしくなり退屈させません。それと、ドラマだから創作なのか、それとも史実に基づいたことなのか気になることでしょう。そこで「ドラマVS史実」というタイトルで5つのポイントを解説して、視聴者の理解を深めようと思います。

ドラマVS史実 1 出生と身分ー奴婢からの脱出からの出発は本当か?
ドラマ:父は禁制品の硫黄の密輸の濡れ衣により斬首され、サンオクはかろうじて死を免れるが官奴婢に落とされる。サンオクの最底辺から這い上がる逆転劇として描かれる。
史実:父・林鳳翮(イム・ボンへク)が密貿易に手を染めて失敗し、一家が官奴婢に落とされたことは史実に近い。ただしその後の経緯は記録が乏しく、詳細は不明な部分も多い。

「最底辺からの逆転劇」というストーリーだけは史実に基づいているが、その出発点は創作である。根幹部分は史実に基づいてるから、あの残酷な出発点の絶望感が重みを持つのです。

ドラマVS史実 2 タニョンという女性は実在したのか?
ドラマ:松商の大行首・パク・タニョンは、サンオクの理想の女性として描かれる。湾商と松商という対立構造の中で、二人は結ばれることのない切ない愛を貫く。
史実:タニョンという人物の史実記録は確認されていない。原作小説で作家チェ・イノが創作した架空の人物とされている。ただし「湾商と松商の対立」という構造は史実に基づく。

あれほどサンオクが求めたタニョンが、実は架空の人物で創作されたものだとは、しかしドラマでの役割はサンオクの成功の原動力であり「商道の鏡」という、タニョンなしでは成り立たないドラマ構成である。もっと言えば、史実の「商人集団の対立」という土台があったからこそ、あの切ない愛が生き生きと感じられます。

ドラマVS史実 3 人参不買同盟の破り方—あの名場面は実話か?
ドラマ:清の商人たちが朝鮮人参の値崩れを狙って不買同盟を結成。サンオクは持参した人参を「朝鮮の魂が宿った人参を、捨て値で売るくらいなら、全部燃やす」と目の前で焼き捨て、逆に交渉を制する。
史実:この「人参不買同盟をくつがえした」という一件は、大筋において史実として記録されていて、1821年、清への使節団に同行した際に、通常価格の10倍もの高値で売りさばいたことが伝えられています。細部の演出は脚色されているが、サンオクが清の商人の圧力に屈せず交渉を逆転させたことは実際にあった出来事です。

サンオクの並外れた才覚が見られるこのシーンは何度見ても驚愕させられます。それが実話に基づくものだったとは!史実と知ってまた感動させられます。

韓国ドラマサンド ドラマVS史実4~5

ドラマVS史実 4 官職を授かる—商人が宮廷から地位を得たのは本当か?
ドラマ:サンオクは洪景来の乱(ホン・ギョンネのらん)の時、私財を投じて反乱鎮圧のため軍資金や兵糧を提供し、純祖王にその貢献が認められ「従三品」の地位を授かりました。身分制度の厳しい時代に商人でありながら、天下国家の経済を動かす存在として認められる感動的なシーンでした。
史実:「従三品」を受けたのは史実です。純祖王がサンオクの功績を称え、郭山郡守という官職を授けたことも史実として記録されています。

商人が最下層と見なされた朝鮮時代に、商人サンオクが位階、官職を得たというのは異例の栄誉であり、商人としての枠を超えていました。商人が天下に認められたという史実がドラマを支えています。

ドラマVS史実 5 全財産を民に還元——あの結末は史実か?
ドラマ:王の大命により「従三品」の位階を授けられたサンオクですが、師匠の石崇(ソクスン)和尚の教えに従い、権力への未練を断ち切るため辞職願を提出し、蓄えた富を惜しみなく民の救済のために使う道を選びます。
史実:史実のイム・サンオクも、公共のために財産を惜しみなく使ったことが記録されており、1855年サンオクが亡くなる前に土地や財産は全て国に寄付しました。「私財はすべて民のもの」という精神は史実に根ざしてます。

何のため稼ぐのかという問いへのベストの答えがここにある気がします。稼いだ金をどう使うか—この問いへの答えを、200年前にサンオクがすでに体現していた。ドラマの結末がこれほど美しいのは、史実の裏付けがあるからだと思います。

史実を知ると韓国ドラマサンドのサンオクがもっと好きになる

今回の比較をまとめると、こうなります。タニョンは架空の人物でも、あの愛の切なさは本物。人参不買同盟の逆転劇は実話で、官職も実話で、財産を民に還元したことも実話です。

エンターテインメント性が要求されるドラマの中ですら、韓国ドラマサンドは史実に残るサンオクの精神を壊していない。それが一番の凄さだと思います。

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