韓国ドラマファンが勧める韓国ドラマサンドは時代劇では珍しく商業を扱ったドラマです。この記事ではドラマの中で語られるセリフの中から感動的な名言を六つを選んで解説しています。
主人公イム・サンオクは18世紀朝鮮に実在した人物です。韓国では朝鮮随一の巨商として知られています。この記事により韓国ドラマサンドの名言の数々を知り、現代のビジネス書では得られない「商道」の理解を深めることが出来ると思います。まずは、ドラマ制作の背景にあるサンオクの残した言葉、「財上平如水 人中直似衡」から解説していきます。
韓国ドラマサンドは現代のビジネス書より深い
実はこのドラマには原作があります。韓国の作家崔仁浩(チェ・イノ1945~2013)が書いた同名の歴史小説です。出版後2週目にして、ソウル市内の大手書店とインターネット書店のベストセラー総合順位でベスト5入りを果たし(出典:東亜日報)、本書は、韓国企業人・ビジネスマンに広く受け入れられ、2020年までに累計500万部を超えているそうです。
原作はまだ読んでいませんが(図書館で借りて読むつもり)、冒頭では、あるマスコミ嫌いの現代の財閥会長が事故死し、常に持っていた紙切れが義州商人イム・サンオクの言葉「財上平如水 人中直似衡」でした。その意味は「財産の扱いは水のように平ら、人間のあり方は秤のようにまっすぐであれ」だそうです。
もう少し詳しい現代の言葉にすれば、「利益は独り占めしようと欲張らず、水が高い所から低い所へ流れるように社会や人々のために正しく循環させ、相手によって態度を変えたり、私利に走って不正をしたりせず、誰に対しても誠実で公正であれ」という意味かと思います(出典:大紀元)。
韓国ドラマサンドを貫くサンオクの生き方はまさにこの言葉の通りであり、著者のチェ・イノは「21世紀の経済人に、本当の商売哲学を伝えたい」という思いでこの小説を書いたそうです。この言葉の意味は現代のビジネス書より深いものがあり、ドラマの名言一つ一つが語られるシーンは心打たれるものがあります。
心に刻みたい韓国ドラマサンド名言1~3
それでは韓国ドラマサンド名言を一つづつ見てみましょう。
名言1 師ホン・ドゥクチェの言葉
商売とは金を稼ぐことではなく、人を稼ぐことだ。利益を残すのではなく、人を残せ。人が残れば、お金はついてくる。
ドゥクチェはドラマではサンオクの父の盟友であり。かつては一緒に訳官を目指していたが、商人に転身し成功した人物です。サンオクが商人としての第一歩を踏み出す時、このような哲学をもった湾商の親方に仕え学んだことは、持って生まれた徳性に商人としての哲学と技術が備わり成功へと導き、「商道」の精神が徐々に形成されていったのです。
名言2 イム・サンオクの言葉
富、名誉、権力を一度に手に入れようとすれば、鼎(かなえ)は崩れる。
周囲の商人達が欲が深いために次々と転落していくのを目の当たりにしたサンオクが、自らを戒めるように語る言葉。鼎とは三本脚の器ー三つのバランスが崩れると、全てが倒れることの例えです。うまい話があると人は欲張りになる、だが全てが叶うことは無理。この言葉を知ってから、私も全てを掴もうとする自分を反省し、何が一番大事なのか落ち着いて考えるようになりました。
名言3 イム・サンオクの言葉
真実が明らかになるまでは、動くな。嵐の中で焦って動いた者が、一番先に沈む
戦乱のデマで市場が混乱し、周囲が安値で商品を投げ売りし始めた場面。サンオクは動かずに状況を見極めようとしますが、周囲の焦りに押される苦しい局面での言葉です。今は情報過多の時代ですが、ニュースで不安な情報が報じられる時、まず落ち着いて何もしないで状況を見ること。サンオクのように「動かないこと」が、現代ほど必要なのかも知れません。
心に刻みたい韓国ドラマサンド名言4~6
名言4 パク・タニョンの言葉
商道を守りながら商売ができないというのなら、その商売はやめてしまえ
チョン・チスが不法な手段で利益を得ようとするのに対し、大行首(商団のリーダー)のタニョンが敢然と言い放つ場面。商人としての節度を見せる、彼女の魅力が光ります。前回の記事でも書いたタニョンの凛とした強さが、この一言に示されています。「儲かればいい」ではなく「人間としてどう生きるか」が重要であり、この言葉に商道の精神が込められています。
名言5 イム・サンオクの言葉
恨みを抱いたまま生きることは、自分で自分を縛ることだ
父を死に追いやったチュミョンへの復讐心を胸に生きてきたサンオク。しかしその憎しみが自分自身を苦しめていることに気づき、悟りを開く場面での言葉です。怒りや恨みを長く持ち続けていることは不幸である。許すことは、むしろ自分を自由にする、それに気づいたサンオクが巨商になりえた原因を示す名言です。
名言6 イム・サンオクの言葉
私財はすべて民のもの。巨万の富を築いたのは、ひとりで蓄えるためではない
晩年、私財を家族に残さず社会に還元した朝鮮最高の商人と評されるサンオクだが、これは史実としても記録されており、ドラマのサンオクのこの言葉からも事実であることがうなずけます。何のため稼ぐのかという問いへのベストの答えがここにある気がします。商道の目指すものは何か。サンオクの生き様は現代社会に「商道の哲学」はどうあるべきかを教えてくれます。
韓国ドラマサンドが最も言いたかったこと
上記名言1をもう少し詳しく見てみましょう。
実際の会話はこうなっています。
ドゥクチェ「商いは何だと考える?」「何を急いでる?」
サンオク「早く商いを学びお金を稼ぎたいのです」
ドゥクチェ「商売というのは金でなく人を稼ぐこと」「利益でなく人を残すべきなんだ」「人を稼ぐそれが商いだ」
このドゥクチェの言葉を聞いたサンオクは、予想外の言葉にキョトンとした顔をしていました。私が考えてみたところ、ドゥクチェの言葉は湾商の大行首として、多くの人を使い商売をやってきた経験から自然に出た言葉だと考えられます。
ドゥクチェの言葉で重要な点は、いずれも人という言葉・考えが先にあり金や利益が先でないことです。サンオクが最終回で成功を振り返るシーンでもこのシーンが出てきます。やはり、これが韓国ドラマサンドが最も言いたかったことではないでしょうか。
商道は人への敬意
韓国ドラマサンドは、単なるサンオクの成功物語ではなく、商道は金儲けでなく「人への敬意」であることを伝えようとする物語だと思います。サンオクが主人公ですが、松商(ソンサン)のパク・チュミョン、パク・タニョン、湾商(マンサン)のホン・ドゥクチェ等、他の商人の役割も重要であり、それぞれの商いのやり方を見せて、視聴者に商道を考えさせるドラマです。
商道という耳慣れない言葉。英語で言うビジネスならば単に金儲けという意味しかないが、商道と言った場合は、明らかに人の道というニュアンスが含まれる。韓国ドラマサンドは言葉通り、商業という分野を借りて人の道を扱ったドラマなのだと思います。

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